社会的困難者への支援活動と地域防災活動、ボランティア活動の支援事業に取り組むNPO法人スキルボート。その活動内容とNPOとして活動することの魅力について同法人理事長の千野雅則さんに伺いました。 |
□はじまりは地域活動から
平成28年5月にNPO法人として設立した同法人ですが、活動のきっかけは地域活動だったそうです。「父母会や学童クラブ、PTA活動に取り組むなかで、地域のために活動するのが楽しいなと感じていました。ところが、子どもが学校を卒業してしまうと途端に地域との関わりが薄くなってしまったんです」と千野さん。「そうすると、仕事以外の時間がつまらなくなってしまって。そこで、それまで地域で一緒に活動していたメンバーに、自分たちで何かやってみようよと、声をかけました」
まず仲間や知り合いがいて、できること、やりたいことを話し合った結果現在の活動に繋がったという同法人。任意団体からNPO法人という形に移ったのは、活動をもっと広げるためには団体としての基盤がしっかりしたほうが良いだろうと考えたからだそうです。
「メンバーのそれぞれが、専業ではなくあくまでも仕事以外の時間を使って、自分たちにできる範囲で活動に取り組んでいる。だからプロっぽくはないですね」と千野さん。「個人個人が持つ、編集・出版やITといった技術的なバックグラウンドを持ち寄って、それが集まって一つの活動になっています」
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□多様な活動を、他の団体と協働で
メンバー一人ひとりが、得意分野を生かしながらできる範囲で活動に取り組んでいる同法人ですが、その活動は多岐に渡ります。
「主な活動としてはドキュメンタリー映画の自主上映会、防災ワークショップ、ボランティア団体へのウェブ活用支援、の三つの柱があります」と千野さん。
一つ目の柱であるドキュメンタリー映画の自主上映会は、主に児童福祉と障害者福祉の分野が中心。これまで、児童養護施設の日常を追った作品や、東日本大震災で被災した障害者をテーマにした作品などを上映してきました。大きな特徴は上映会と併せて、上映した映画の関係者のトークショーを開催している点です。
「映画を見た後に映画の当事者や現場に近い人のお話を聞くことで、単に映画を見て終わりではなく、もう一歩踏み込んで考えてみましょうよ、ということを提案しています」と千野さん。
二つ目の柱である防災ワークショップでは、避難所運営ゲーム(HUG)の体験会を開催。HUGは次々と読み上げられる避難者の特徴が書かれたカードを、適切な誘導場所を考えながら避難所の図面上に配置していくことで、避難所の運営が体験できるゲームです。
「体験会では地域に住む一般の方を中心に参加者を募集しています。地域で暮らす、ごく普通の人たちが避難所の運営を体験しておくことで、災害に備えることができます。また、小さなお子さんのいる家庭にも参加していただきたいと思い、実施にあたっては必ず託児サービスを付けています」と千野さん。 |
三つ目の柱であるボランティア団体へのウェブ活用支援では、ボランティア団体が無料で使える各種ウェブサービスの紹介や、ネット活用のためのセミナーを実施。団体のホームページの作成や動画を用いた活動報告など、ITの活用が地域のボランティア団体の活性化に繋がることを目指して、支援に取り組んでいます。
団体の今後の活動については、地域の他の団体と協力しながら、さらに活動を広げていきたいという思いがあるそうです。
「たとえば、HUGは早稲田大学の認定防災サークルと一緒に行っています。イベントを行う時には、必ず別の団体に声をかけて協働で行うようにしているんです」と千野さん。
「区内には同じような問題意識を持って同じような取り組みをしている団体がまだまだたくさんある。そことコラボレーションしながら、今より大きな取り組みができたらいいなと思います」 |
□楽しいから活動が続いていく
こうした活動の励みになるのは、参加した人からの声だと千野さんは言います。
「自分たちの興味に基づいて企画したものに、たくさんの参加者が来てくれる。そこで、自分たちと同じような問題意識を持っている方たちと出会い、直接話を聞くことができる。そうなるとまたやりたいと思えるし、それが活動をやめられない一番の魅力ですね」
イベント終了後には関係者と参加者が長時間話し込む様子もよく見かけるそうです。
仲間と共に、それぞれが持てる時間の中で活動に取り組んでいる同法人。最後にNPO活動の魅力について、千野さんはこう語ってくれました。
「いつも思うのは、楽しいからやってるということ。既存の活動に参加する、という方法もありますが、ボランティア活動・NPO活動に関心がある方は、ぜひ自分たちで何か始めてみてください」 |
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